遺伝子組み換え食品の20年

横浜豆腐組合様主催の天笠 啓祐先生による特別講習があり参加させて頂きました。
タイトルは「遺伝子組み換え食品とは?何が問題?」

 

弊社は輸入大豆と食用油を取り扱う会社として関係性大の内容です。
まず最初に思ったのは色々な情報がある中で、冷静かつ客観的に見なければならないと
思ったこと。そして今公表されている資料やこのような講義を受けた情報を元に
我々がどんな形で誤解のないようにお伝えしなければならないのか。
講義終了してからそんな事を感じました。






講義を聞いた一部を紹介
現在日本に流通している遺伝子組み換え食品(GMO)は4つ。
①大豆 ②トウモロコシ ③綿 ④菜種
主に脂肪分が多い種が輸入され、よって油製品が多いとの事。
GMO食品は日本人が一番食べています。





GMOとは?(農水省資料)
1.生産性向上:多収性、耐病性、早熟性、短茎性、耐寒性、耐塩性、耐倒伏性などの目的
2.食用部分の品質向上:有害成分の低減/除去、有用成分の増加/付与、食味などの目的





ところで前から疑問に思っていたことが。交配と遺伝子組み換えってどう違うのか。
●交配・・・同じ種同士、または近縁種同士のかけ合わせ
●遺伝子組み換え・・・種の壁を越えた全く違う遺伝子をかけ合わせたもの





講義で聞いた分かりやすい所を抜粋すると。。。
ホウレンソウの遺伝子を入れた豚→ヘルシーな豚
クラゲの光る遺伝子を入れた猫→光る猫





なるほど。とても分かりやすい。





大豆ならば。害虫に強い!除草剤に強い!反収が良い!
農家さんにとってはとても良い!いい事だらけ!
消費者にとっては、これはいいとするのか?そうでないのか。





この講義で一番大事だと思ったのは、
遺伝子組み換えと農薬はセットで考えなければならないという事。
例えば、除草剤を農作物の上からかけた場合、普通なら農作物はダメージを受けます。
でも除草剤耐性の遺伝子を大豆に注入すれば農薬に強い大豆になる為、雑草だけが枯れます。





とても効率的です。でも、雑草もバカではないみたいです。
雑草も耐性を作り強くなる。だから農薬が効かなくなると、
さらに農薬をグレードアップさせもっと強い農薬を撒く。それに伴い強い耐性の遺伝子を
大豆に注入して大豆も強くする。
なんかスパイラルになっている。。。大丈夫なのか。いや、大丈夫ではないコレ。





ではそのGMO、どのくらい日本に流通しているのだろう。
弊社は大豆専門問屋なので①の大豆について書きます。
日本の大豆需要量は約300万トン。(平成26年度 農水省調べ)
そのうち約200万トンが油糧用、94万トンが食用になります。
  ※食用とは・・・豆腐、煮豆、納豆、みそ、しょうゆなど





ちなみに国産大豆の生産量って、毎年頑張っても約23万トンなんです。
仮に23万トン全部食用に使っても、94-23=71万トン足りない。





要するに輸入大豆に頼らないと豆腐や納豆が食卓に出てくることはありません。
この食品用71万トンの輸入大豆は、ほぼ非遺伝子組み換え大豆(Non-GMO)です。





しかし油糧用200万トンのほうは、GMO大豆が多く使用されています。





この講義では表示の事が多く取り上げられていましたので、消費者庁から抜粋して
原料がNon-GMO大豆とGMO大豆の表示義務について書きます。





消費者庁:遺伝子組換え食品に関する表示について





【義務表示の対象品目(ここでは大豆のみ) ※消費者庁一部抜粋】
(1) 豆腐類及び油揚げ類
(2) 凍豆腐、おから及びゆば
(3) 納豆
(4) 豆乳類
(5) みそ
(6) 大豆煮豆
(7) 大豆缶詰及び大豆瓶詰
(8) きな粉
(9) 大豆いり豆
(10) (1)から(9)までに掲げるものを主な原材料とするもの
(11) 大豆(調理用)を主な原材料とするもの
(12) 大豆粉を主な原材料とするもの
(13) 大豆たんぱくを主な原材料とするもの





【表示が不要な加工食品(ここでは大豆のみ) ※消費者庁一部抜粋】
・大豆油
・しょうゆ





しょうゆに関しては、Non-GMO大豆が使用されているほうが圧倒的に多いようです。





遺伝子組み換え大豆が使用されているもっとも多い加工食品が、大豆油です。
大豆油は遺伝子組み換え大豆を使用してもよい&遺伝子組み換えの表示を
しなくてもよいとされています。
もちろんこの油を使用した加工食品にも表示はなし。
GMO大豆を絞って出てきたカス(脱脂大豆)は豚のエサになり、それを豚肉などで
販売されていても表示はなし。





以下は理由です。↓





【遺伝子組み換えを表示しなくてもよい理由 ※消費者庁抜粋】
「義務表示の対象となる遺伝子組換え食品の品目については、平成9年から11年までの2年余にわたり、消費者、生産・流通業者及び学識経験者からなる食品表示問題懇談会遺伝子組換え食品部会において議論した結果、科学的・技術的な観点から、表示の信頼性及び実行可能性を確保することが重要であるとの観点から、組み換えられたDNAやこれによって生じたたん白質が、ひろく認められた最新の技術によっても検出できない油やしょうゆ等の食品については、義務表示の対象外とされたところです。」




ちなみに日本は遺伝子組み換え食品はない為、国産=非遺伝子組み換えとなります。




ここでは大豆を紹介していますが、GMOのコーンや菜種を原料とした食品があり、調味料や乳化剤など、加工食品に必要な原材料の中の一部にも使用されています。





これを敬遠してという意味ではありません。いや、私なら全てを敬遠したら経済的にも
生きていけないと思います。。。大事なのは理解する事。今起きている食品の事を
知ってほしいと思います。各自情報収集し、判断し、商いや生活に取り入れていく。
その中で自分ならどこまでならOKで、ここだけは譲れない。
そんな考えが大事だと思います。私は子供が生まれてから、より気にするようになりました。
食品関連に携わる以上、もっと知識を高め子供に食べさせたいもの、そうでないものを
理解しながら生きて行こうと思ってます。




今回の講義はとても濃い内容でした。なるべく多くのお客様に直接お伝えしたいです。
弊社は国産大豆と、Non-GMOのアメリカ産、カナダ産大豆の食品用大豆、業務用油を扱っている為、さまざまな場面で遺伝子組み換えの事などを聞かれます。添加物や大豆関連の商材も取り扱っているため食品の事や表示の事などしっかり知識を付けお客様に情報を伝えられるように日々勉強して行きます。





 

2017年07月16日